トランペットは音楽をあまり知らない人であっても知っているほどメジャーな楽器です。チューバやユーフォニアムを知らなくてもトランペットを知っている人は多いでしょう。
しかしその特徴や作り、種類について詳しく知っている人は少ないです。本記事はトランペットの特徴やその仲間、種類、作りによる違いなどについて解説します。トランペットをこれから始めようと思っている人は参考にしてみてください。
高校から吹奏楽を始める。現在は、音楽専門ライターとして活動しながら音楽系メディアの運営にあたる。趣味はチェロ、チューバ。東海大会出場経験あり。
トランペットとは?
引用:ヤマハ
トランペットは3つのバルブやロータリーを持ち、それを使って管の長さを変化させることで音程を変化させる楽器です。ジャズやクラシック、吹奏楽、マーチングバンドなど、多くの場面で使われています。
現代のトランペットは花形楽器の1つですが、18世紀頃まではバルブが存在せず、唇の振動によって吹ける倍音のみ演奏できる作りが単純な楽器でした。その頃のトランペットは「ナチュラルトランペット」と呼ばれ、吹ける音の数が限られていたので、演奏する曲に併せて何本もの楽器を使用していました。
1本の管だけでできているんですね
トランペットの種類とその特徴
トランペットには大きく分けて以下の2種類が存在します。
- ピストントランペット
- ロータリートランペット
ここではそれぞれの特徴について解説します。
ピストントランペット
ピストントランペットは最も一般的で、主流となっているトランペットです。ピストンによって管の長さを変えることによって音を調節します。
その音の特徴はロータリーに比べて華やかで、遠くまで通るような音色となっています。
ロータリートランペット
引用:ヤマハ
ロータリートランペットは、従来のピストンバルブに代わり、ロータリー機構を採用したトランペットの一種です。ロータリーバルブにより、スムーズかつ迅速に音の変化が行えるようになり、演奏の向上と機敏性の向上につながっています。
ロータリートランペットは、ドイツや東ヨーロッパを中心としたクラシックや伝統的なブラスバンドでよく使用されています。また、その汎用性と音色の良さから、ジャズ奏者やソロ奏者の間でも人気が出てきています。
特徴的なのは楽器の構え方で、楽器を横に寝かせて構える形となります。
引用:ヤマハ
トランペットの仲間
トランペットには以下の仲間が存在します。
- ピッコロトランペット
- コルネット
- フリューゲルホルン
これらの楽器は一般的なトランペットではありませんが、トランペット奏者が吹く楽器です。
ピッコロトランペット
引用:ヤマハ
ピッコロトランペットは、高音専用のトランペットで、一般的なトランペットより一回り小さいサイズとなっています。標準的なトランペットよりも1オクターブほど高く、オーケストラや金管アンサンブルで非常に高いメロディーを演奏する際に使われています。
ピッコロトランペットは、一般的なトランペットと同様の運指ですが、サイズが小さいだけで、演奏する難しさはそれほど変わりません。
高音が当てやすくなるだけで、そもそもの難易度は変わらないわ
コルネット
引用:ヤマハ
コルネットはトランペットに似た金管楽器ですが、形や音色が少し異なります。コルネットは円錐形の内径を持ち、トランペットに比べて暖かく丸みのある音色を出すことができます。吹奏楽やオーケストラ、ジャズ・アンサンブルでよく使用されています。
コルネットはトランペットよりも小型で吹きやすく、特にヨーロッパ、イギリスでは金管楽器初心者に人気があります。また小さいながらも力強い音を出すことができ、様々な音楽スタイルに対応することができる万能な楽器です。
フリューゲルホルン
引用:ヤマハ
フリューゲルホルンはトランペットに似た形状の金管楽器ですが、ベルが大きく円錐形をしています。音色はトランペットに比べて暖かく柔らかいのが特徴です。ジャズバンドやブラスバンドでよく使われ、その豊かでまろやかな音色が重宝されています。
ホルンじゃなくてトランペットの仲間なんですね
すこし特殊なトランペット
ここでは特定の音を出すトランペットではなく、作りはトランペットそのものですこし特殊な楽器を解説します。
ポケットトランペット
引用:Amazon
ポケットトランペットは、見た目が小さくなったトランペットです。菅の全長は通常のトランペットと同じです。巻きがきつくなっているため、マウスピースからベルまでの長さが短くなっています。
他のトランペットとは異なり、ポケットトランペットは純粋に持ち運び性を重視したようなものです。トランペット奏者の間では、ポケットトランペットはスペースに限りがある場合にのみ役立つと言われています。
また価格も安いため、手軽に購入することができます。
プラスチック製トランペット
引用:Amazon
プラスチック製のトランペットは通常のトランペットより安いバージョンです。応援や屋外のイベントなど、高いトランペットを傷つけてしまう場合に向いています。
また、寒さの厳しい屋外で演奏する場合、金属製の楽器と違って冷たい感じがしないので、プラスチック製は快適に演奏できます。
プラスチック製のトランペットをメイン楽器として購入することはお勧めしませんが、休暇中に練習するときなどは有効に活用できるでしょう。
通常品とリバース管の違い
引用:ヤマハ
通常の主管抜差管は管が内側にある「中管」ですが、リバース管は主管抜差管が外側にある「外管」になっています。リバース管になっていると息の抵抗が少なくなり吹奏感が良くなり、反応も早くなります。
ベルの1枚取りと2枚取りの違い
トランペットのベルには1枚取りと2枚取りが存在します。1枚取りは1枚の金属の板を加工して作る方法で、2枚取りは2枚の板をそれぞれ加工してつなぎ合わせる加工をいいます。
1枚取りは楽器を作る職人の個性が出やすく製品ごとで音にばらつきが生まれます。一方二枚取りはほとんどの工程が機械によって作られるので、製品ごとのばらつきが出にくくなっています。
また2枚取りはベルの厚さも均一なので、重みのある音色が特徴的です。
トランペットを作っている主なメーカーとその特徴
トランペットは主に下記のメーカーで作られています。
- YAMAHA
- Bach(バック)
- C.G.Conn(シージーコーン)
これらのメーカーで作られているトランペットの特徴を解説します。
YAMAHA
ヤマハのトランペットには以下の特徴があります。
耐久性
品質な素材と堅牢な構造により、過酷な使用にも耐えられるように作られています。
多用途性
ヤマハのトランペットは、初心者からプロフェッショナルまで、さまざまなレベルの演奏者に対応する幅広いラインナップを取り揃えており、あらゆる技術レベルに対応できます。
演奏のしやすさ
ヤマハのトランペットは、演奏者の快適性を考慮して設計されており、快適な手の置き方やスムーズなバルブアクションなど、長時間の演奏を容易にする機能を備えています。
これらの特徴により、ヤマハのトランペットは学生からプロのミュージシャンまで、あらゆるレベルのプレイヤーに愛用されています。
Bach(バック)
バッハのトランペットは以下のような特徴があります。
クラシックなサウンド
バックのトランペットは豊かで暖かく、力強いサウンドが特徴的で、ブランドの特徴ともなっています。
高品質な製造技術
高品質な素材と高度な製造技術により、細部にまでこだわり、安定した信頼性の高いサウンドを実現しています。
伝統
バックは、高品質のトランペットを長年にわたり製造しているため、高い評価を得ている歴史のあるブランドです。豊かな歴史を持ち、楽器としてのトランペットの発展にも大きな役割を果たしています。
C.G.Conn(シージーコーン)
C.G.Connのトランペットは以下のような特徴があります。
長い歴史
C.G.Connは、トランペットを最初に大量生産した企業の1つであり、トランペットの設計において長い歴史を持っています。
汎用性
C.G.Conn社は、様々な演奏スタイルやスキルレベルに対応したトランペットを幅広く提供しており、あらゆるタイプのプレイヤーに対応できる汎用性の高い選択肢となっています。
革新的なデザイン
C.G.Connはトランペットの設計において長い革新の歴史を持ち、そのトランペットは演奏体験を向上させるために最先端の技術やデザインを取り入れることで知られています。
高いカスタマイズ性
C.G.Connは、様々なカスタマイズオプションを提供しており、奏者は個々のニーズに合わせてトランペットをカスタマイズすることができます。
トランペットが上手い人の特徴
トランペットが上手いといわれる人は、以下のような特徴があります。
- 無理なく高い音が出せる
- 早くて細かいフレーズを正確に吹ける
- 良い音色で吹ける
- 練習熱心
トランペットは金管楽器における最高音を担当する楽器ですので、高い音をきれいに吹けるというのは最重要課題といっても過言ではありません。高い音が出せると演奏できる曲の幅が広くなり、バンドの中の重要性も高まるでしょう。
また早くて細かいフレーズを正確に吹けることもトランペットが上手い人に共通している特徴です。木管楽器のような細かいフレーズを正確な音程で吹けることによって楽曲の完成度はグッと高まります。
トランペットの特徴まとめ
本記事で解説した内容をまとめると以下のようになります。
- ピストントランペットとロータリートランペットの2種類が存在する
- ピッコロトランペット・コルネット・フリューゲルホルンはトランペット奏者が兼任する
- トランペットを購入するときはメーカーごとの特徴を押さえておこう
トランペットは吹奏楽団の中でも目立つ楽器です。それゆえ本番中にミスをするとほとんどの人が気付いてしまうため、日々のプレッシャーは重たいことでしょう。しかしその反面難しいフレーズを難なくきれいな音色で出すことができれば曲のクオリティを格段に上げられます。
日々の練習を積み重ねて上達していきましょう。