楽器というものは、初心者のステージを乗り越えると、楽器を吹くこと自体が楽しくなり練習にも夢中になってメキメキ上達することがほとんどです。
しかし初心者の内は「トランペットが上手くなりたいけど、何から始めたらいいかわからない。」という人は多いです。同じ練習をすることに飽きてしまい、吹きたい曲も吹けないので結果的にトランペットを辞めてしまいます。
そのためできる限り早く初心者のステージを乗り越えることをおすすめします。
しかし効果的な練習方法を生まれながらにして持っているわけではありません。したがってそれを見つける必要があります。
そこで本記事ではより早く上達するための9つの秘訣を解説します。
高校から吹奏楽を始める。現在は、音楽専門ライターとして活動しながら音楽系メディアの運営にあたる。趣味はチェロ、チューバ。東海大会出場経験あり。
トランペット初心者が上達するための9つの秘訣
楽器の技術的な面の上達はレッスンの先生に教わることが最適ですが、基礎はどのような楽器にも共通しています。ここではトランペットが上達するための「基本中の基本」について解説します。
重要度が高い順から紹介していますので、初心者の内は、上のほうにあることに気をつけて練習しましょう。
1.姿勢
姿勢を正す目的は、トランペットに効率良く空気を送り込むためです。
2本の糸をイメージして、1本は頭のてっぺんから引っ張り上げ、もう1本は胸から45度の角度で前に引っ張る、まるで人形のようなイメージを持ちます。
この姿勢は背筋を伸ばし、両足をしっかりと地面につけることで、トランペットを演奏する理想的なポジションとなり、最高の音を奏でることができます。
アンブシュアやマウスピースの位置よりも、まずは「姿勢」が第一です。姿勢が崩れていれば楽器の上達はかなり遅れてしまうでしょう。
2.呼吸
空気がなければトランペットの音は出せません。「どのように空気を送るか」「どうやって効率良く空気を届けるか」など、トランペットを演奏する上で空気はかなり重要な要素です。
トランペットの演奏に最適な呼吸の仕方については、数え切れないほどの理論がありますが、一般的には、リラックスして吸った息をしっかりとして吐き出すことが求められます。
これから演奏する音に合わせて「ほー」という音で息を満たし、自由でオープンな呼吸を保つようにしましょう。
3.集中
最初の息継ぎから最後の音符を吹くまで、集中力を維持します。音を出すことに集中してしまう傾向にありますが、演奏するすべての音が重要です。
休符を数えている間に姿勢を正したり、イメージトレーニングをして集中力を高めましょう。
4.練習を計画的に進める
トランペットが上達するためには、よく練習することが必要です。しかし闇雲にしても効率が悪く上達しません。上達するためには、何を練習すればいいのか計画を立て、それを忠実に遂行することが重要です。
練習を効率良く進めれば誰でもある程度上達することは可能です。その練習時間を無駄にしないためにも、まずはスマホをマナーモードにしておきましょう。次に快適な練習環境を整えて、水やお茶を用意しておきます。
そして練習計画を立てます。「今日はアンブシュアに取り組むつもりだ」と自分に言い聞かせます。あるいは「アンブシュアの中でも上唇に注意を払う必要がある」や「マウスピースを押し当てる最適な圧力を探す」でも大丈夫です。より細かい目標を立てるほうが効率良く練習を進められます。
特に社会人や学生にとっては、日常の中で練習する時間が限られている場合は特定のことに集中して時間を費やすほうが賢明です。例えば音階や練習曲など、考えるべきことが多いことを一度にやろうとしても、なかなか上達できません。
曲を吹きたい気持ちは痛いほど分かるけど、地道にこなすことが上達への最短距離となるわ
練習に役立つ方法のひとつに自分の姿をビデオに撮ることがおすすめです。再生してテクニックをチェックするだけでなく、自分が設定した目標に集中して到達していることを確認することができます。練習の始まりと終わりで比べてみると上達している実感がわくので練習のモチベーションアップにもつながります。
また練習と同じくらい休憩をとることも重要です。しかしここでいう休憩はトランペットを置いて、スマホを見ることではありません。
トランペットを吹かなくても練習はできるため、姿勢や呼吸法をチェックしたり、楽譜を読んで、以降の練習を効率良く進められる準備をしておきます。そうすると驚くべきスピードで上達するでしょう。
また休憩は頻繁に取ることがおすすめです。練習中ではなく頻繁な休憩がスキルを上達させるとこちら(引用:ナゾロジー)で明らかになっています。
5.新しい曲に挑戦し続ける
特定の曲を学ぶことに夢中になり、ひとつの曲に固執してしまうことがあります。なかなか課題を突破できないときは一旦違う曲に挑戦しましょう。時間を置いてから突破できなかった課題に挑戦してみるとあっさり成功するというのはよくあることです。
6.演奏会にプレイヤーとして参加する
できる限り多く演奏会の場面でトランペットを吹いてみましょう。やればやるほど簡単になり、最終的にはどんな緊張も受け入れて演奏できるようになります。
7.お手入れを怠らない
トランペットのお手入れをしましょう。週に一度はバルブにオイルを塗り、月に一度はトランペット専用のクリーニング器具で楽器全体をきれいにしましょう。
またベルにツヤを出すためにクロスを使うことで、トランペットに愛着が沸き、気持ちよく練習ができることでしょう。
8.コミュニティに参加する
他の人と一緒に演奏することは楽器奏者の醍醐味のひとつです。地元の楽団を探したり、ネットで同じ志を持つトランペット奏者を探したりして、自分の周りにミュージシャン同士のコミュニティを作りましょう。楽器の上達に健全な競争は決して欠かすことができません。
9.音楽を楽しむ
これはとても単純なことですが、上達するのに有効な方法です。トランペットを始めようと思ったきっかけである音楽を学ぶと、トランペットの演奏は何倍も楽しくなるでしょう。
実際に多くのプロやミュージシャンは練習時間の大部分を、自分にインスピレーションを与えてくれる音楽を学ぶことに充てるでしょう。これはクラシックの世界でも同様です。
曲のレパートリーを増やすだけでなく、新しい刺激を受けることができ、音楽を演奏する楽しみを与えてくれます。
トランペット初心者におすすめの練習方法
トランペットを始めたら、まずは音を出すコツを覚える必要があります。
トランペットはマウスピースを唇に当てて、息を吹き込んで唇を振動させることによって音を出します。最も基本的な音で、ピストンは何も押す必要がない、FかB♭の音から始めるとよいです。
それをゆっくりなテンポで、4拍出して4拍休むというのを繰り返してください。このとき、息はタンギング(舌で切る)せずにエアー(息)だけで音を出します。
この練習方法は、唇の筋力や耐久力をつけるだけでなく、息のコントロールや音程の安定にも効果的です。
また、トランペットの運指(ピストンの押し方)を覚えて、スケール(音階)やリップスラー(唇の振動だけで音を変える)などの練習もしてください。
トランペットの練習方法は他にもたくさんありますが、基本的には毎日少しずつでも続けることが大切です。トランペットの練習方法について詳しく知りたい場合は、教則本や教室なども参考にしてみてください。
トランペット初心者におすすめの練習曲
トランペットの初心者におすすめの練習曲は、以下のようなものがあります。
これらの曲は、スローテンポで高音域が少なく音階がシンプルなものが多いので、運指や音程に慣れるのに適しています。
上で紹介した秘訣に意識して練習曲に取り組みましょう。
トランペット初心者まとめ
トランペットはアンサンブルや、ジャズ、クラシック、ポップスなど多くの場面で演奏することができます。非常に汎用性の高い楽器で、人気もあります。
その反面、トランペットはマウスピースが小さいため、難易度が高いのも事実です。演奏したい曲が吹けず、出したい音がでないということは初心者のうちはよくあります。
しかし基本中の基本を押えておくことで上達スピードは加速します。基本をしっかりと押さえて練習に臨みましょう。